はじめに|忙しさやストレスで暴飲暴食してしまう自分を責めていませんか

疲れた日の夜、気づいたらお菓子の袋を開けていた。ストレスが溜まると無性に食べたくなる。そんな自分を「意志が弱いから」と責めてしまっていませんか?
実はそれ、根性や意志の弱さの問題ではなく、体がストレスに対して起こしている、れっきとした生理的な反応かもしれません。
「ストレス太り」は根性の問題ではなく体の反応
以前、こちらの記事で「40代からお腹だけ太る本当の理由」として、女性ホルモンの変化や活動量の低下について取り上げました。

あの記事ではホルモン変化や活動量が主な要因でしたが、今回はそれとは別の角度
「ストレス反応」
というもう一つの視点から、お腹周りの脂肪について掘り下げていきます。
コルチゾールとは?ストレスと脂肪をつなぐホルモン
ストレスを感じるとコルチゾールが分泌される仕組み
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、身体的・精神的なストレスがかかった際に分泌量が著しく増加することから「ストレスホルモン」とも呼ばれています。
ストレスを受けると、その値は10〜20分ほどの間に2〜3倍に増加することが分かっています(注1)。これは、体がストレスという状況に対応しようとする、防衛反応の一環として起こるものです。
コルチゾールには本来、一日のうちで自然なリズムがあり、早朝に最も高く、夕方から夜にかけては早朝の半分以下になるとされています(注1)。ところが強いストレスがかかり続けると、このリズムに関係なく分泌が高まりやすくなります。
同じコルチゾールというホルモンについて、今度は睡眠不足という別の切り口から掘り下げた記事も書いています。よければあわせてご覧ください。

コルチゾールが内臓脂肪を増やすメカニズム
コルチゾールと脂肪の関係が最もはっきり分かるのが、コルチゾールが慢性的に過剰分泌される内分泌疾患(クッシング症候群)の医学的知見です。日本内科学会の学術誌では、こうしたコルチゾール過剰の状態が体幹部を中心とした脂肪蓄積、いわゆる中心性肥満を引き起こすことが説明されています(注2)。
日常的なストレスによるコルチゾールの上昇は、この病気ほど極端なものではありません。ただ、コルチゾールという同じホルモンが体幹・内臓まわりへの脂肪蓄積に関わる方向に働くという仕組み自体は、慢性的なストレスが続く場合にも無関係とは言えないと考えられます。ストレスによる「食べすぎ」だけでなく、ホルモンの働きそのものが、お腹まわりに脂肪がつきやすい体内環境を作っている可能性がある、ということです。

40代女性がストレス太りしやすい理由
女性ホルモン変化とストレス耐性の関係
40代以降は、更年期にさしかかる女性ホルモンの変化の時期と重なります。厚生労働省の「e-ヘルスネット」では、更年期はこどもの独立や身体の衰えなど、さまざまなストレス要因に直面しやすい時期であり、それが更年期症状の悪化につながることがあると説明されています(注3)。
つまり40代は、ホルモンバランス自体が揺れ動きやすいタイミングに、生活環境の変化によるストレスまで重なりやすい時期だと言えます。ストレス太りを感じやすくなるのも、決して不思議なことではありません。
ストレス以外にも、40代の体には更年期に伴うさまざまな変化が重なっています。ホルモン全体の変化と太りやすさの関係を広く知りたい方は、以前の記事「40代から太りやすくなる本当の理由」もあわせてご覧ください。

指導現場で感じた、ストレスと体重の関係
明確なエビデンスがあるわけではありませんが、指導していると、体重が増えている方の多くが何かしらの強いストレスを抱えていると感じました。仕事がうまくいかない、評価が上がらない、恋愛がうまくいかない——すぐには解消できないストレスが、じわじわと体に影響しているのではないかと感じることが多くありました。
もちろん、転職や恋愛そのものにトレーナーが直接介入することはできませんし、するべきではありません。ただ、日々のセッションの中でしっかり褒めて自己肯定感を高め、「自分にもできる」という自信を持ってもらうことで、本人が次の一歩を踏み出す後押しになることはあります。直接的なアドバイスというより、さりげなく背中を押す——そこを意識して指導していました。
実際、長らくパートナーがいないことに悩んでいた受講者様が、あるとき恋人ができたのをきっかけに間食がぐっと減り、「素敵に見られたい」というモチベーションでダイエットが一気に進んだケースがありました。コルチゾールが下がったからなのかを科学的に証明できるわけではありませんが、根本のストレスがやわらいだことが、結果につながったのではないかと感じています。
コルチゾールと上手につきあう方法
ストレス発散・睡眠・軽い運動でできること
コルチゾールの分泌そのものをゼロにすることはできませんが、上手につきあっていくことはできます。趣味の時間を意識的に確保する、質の良い睡眠時間を確保する、軽いウォーキングやストレッチなど無理のない運動を取り入れる——どれも特別なことではありませんが、ストレスを溜め込みすぎない生活を作るうえで大切な要素です。

自分を責めないことが第一歩

何より大切なのは、ストレスで食べすぎてしまった自分を、必要以上に責めないことです。「意志が弱いからだ」と自分を追い込むこと自体が、さらなるストレスになり、コルチゾールの分泌を後押ししてしまう悪循環になりかねません。
「頑張っているのに結果が出ない」ときに感じやすいこの自責の感覚については、こちらの記事でも詳しく取り上げています。

まずは「これは体の自然な反応なんだ」と受け止めるところから始めてみてください。
まとめ
ストレス太りは、気のせいでも根性不足でもなく、コルチゾールというホルモンが関わる体の反応です。
特に40代は、女性ホルモンの変化とライフステージの変化によるストレスが重なりやすい時期。まずは自分を責めるのをやめて、ストレスとの付き合い方を見直すところから始めてみませんか。
使用した外部ソース
- (注1) [独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所「ストレスホルモンを測る」](https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2016/87-column-2.html)(2026年8月30日閲覧)
- (注2) 柳瀬敏彦・野見山崇・田邉真紀人「内分泌疾患に続発する肥満症」日本内科学会雑誌104巻4号、690-696頁、2015年、[J-STAGE](https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/4/104_690/_article/-char/ja/)(2026年8月30日閲覧)※コルチゾール過剰(クッシング症候群)による中心性肥満の医学的知見として参照。日常的なストレスによる影響とは程度が異なる点に留意
- (注3) [女性の睡眠障害|e-ヘルスネット(厚生労働省)](https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-005.html)(2026年8月30日閲覧)