
トレーナーとして働いていた頃の話
今こうしてパソコンに向かって原稿を書いている手を止めて、ふと当時を振り返ることがあります。
トレーナーとして現場に立っていた頃、私は毎日をどんな気持ちで過ごしていたのか。
大会に出るような、いわゆる競技系のガチガチしたトレーナーが同僚には多かったんです。
それに比べると、私はどちらかというとゆるめのトレーナーでした。
体のことを勉強するのは好きだったので、知識面ではお金をいただけるレベルはあったと思います。
それでも、ゴリゴリ系のトレーナーたちと自分を比べては「私はただの普通のおばさんトレーナーだな」って、引け目を感じていた時期もありました。
ただ実際に通ってくださるお客様は、出産して子育てしながら忙しく働いている方だったり、ごく普通の生活を送る方がほとんどだったんですよね。
そういう方の困りごとを、自分ごととして理解できる立場にいる。
だったら「実はトレーナーです」くらいの、肩の力が抜けた自分みたいなトレーナーがいてもいいじゃないかと思って働いていました。
同僚には海外の論文を読み漁って知識をガンガン伝えるタイプもいましたが、私は違いました。
基礎知識、最低限のことだけを伝えて、それよりもメンタルのケアを大事にするトレーナーだったんです。
過度な知識は、時にお客様を追い込んでしまうこともある。
そう感じていたので、必要なことだけを教えて、あとは今の状態や仕事・子育ての状況を聞きながら、できることを一緒に探す。
そんな寄り添い型のトレーナーでした。
愚痴を聞いているうちに1時間のセッションが終わってしまうこともあったし、恋愛相談を受けることも普通にありました。
トレーナーというより、メンタルコーチみたいな働き方だったなと、今振り返ると思います。
働き方も、感じていたやりがいも、限界だと思った瞬間も。
今振り返ると、そのすべてが今の私につながっています。
「このままでいいのか」と感じた瞬間

誰にでも、ふとした瞬間に「このままでいいのかな」と立ち止まる日があるのではないでしょうか?
私にも、はっきりとそう感じた瞬間がありました。
1対1で向き合う指導には、それなりの責任があります。
どんどんスキルアップしなきゃという思いは、ずっとありました。
でも同時に、一人で担当できるお客様の数には限界がある。
100人を同時に見ることなんてできないんですよね。
そう気づいたとき、もっと幅広い人に自分の経験を伝えていきたいという気持ちが芽生え始めました。
1対1の指導は、ある程度経験を積んだら卒業してもいいのかもしれない。
そんなふうに感じ始めていた頃です。
もう一つ、心に引っかかっていたことがあります。
ルッキズムが当たり前になっている社会の中で、ダイエット目的で来てくださるお客様の中に、それ以上に「心が疲れている」「心が健康じゃない」というケースが増えてきたように感じたんです。
最初はほんの小さな違和感でした。
でも指導を重ねるほど、その違和感に気づく機会が増えていきました。
心が健康じゃない方へのアプローチも、自分なりにやってはいました。
ただそれは、トレーナーの知識だけではどうにもならない。
そう痛感した瞬間があったんです。
それが、私にとって一つの転機でした。
心のケアについて、もっと学んでいきたい。
そう思うようになったきっかけです。
その瞬間から、独立という選択肢が、少しずつ現実味を帯びていったのを覚えています。
決断を後押ししたもの、迷ったこと

とはいえ、決断は一瞬でできたわけではありません。
迷いも、不安も、正直たくさんありました。
当時、トレーナー以外にも業務委託など複数の仕事を掛け持ちしていました。
組織のために最大限の力を発揮する。
それを続けることに、正直、疲れを感じていたんです。
自分のリソースの中で仕事をするなら、いっそ自分の会社を育てていきたい。
そう思うようになりました。
お付き合いのあった会社は、どこもいい会社ばかりでした。
本当にありがたい経験をさせてもらったと思っています。
それでも、経験を積めば積むほど「もしかしたら自分にもできるかもしれない」という思いが消えませんでした。
それが、起業に踏み切った理由の一つです。
もう一つのきっかけは、40歳を目前にしたこと。
早いうちに子どもを産んだので、40代になる頃には子育てもある程度落ち着いている計算でした。
「40代は、きっと時間に余裕ができるだろうな」。
そう感じたんです。
与えられた仕事をこなすだけでは、なんだか物足りない。
子育てが一段落したなら、次は自分の会社を育てよう。
そう思ったのが、決断のきっかけでした。
今、独立や転身を考えている方の中には、こうした迷いに心当たりがある人もいるかもしれません。
現場に立っていた頃の経験は、オンラインと実店舗、両方の環境を知っていることも含めて、今の仕事の土台になっているんですよね。
その現場のリアルについては、以前の記事でも触れました。

経営者になって変わったこと、変わらなかったこと

経営者という立場になってから、変わったことはたくさんあります。
一方で、変わらなかったものもあります。
経営者になって、まだ2年ちょっとです。
正直、まだまだだなと日々感じています。
会社としてお金をいただく立場になっても、個人事業主時代の感覚がなかなか抜けきらない。
大きなお金を動かす勇気や知恵が、まだ足りないと感じることも多いです。
情に流されて、利益につながらない判断をしてしまうこともあります。
ビジネスとしての割り切り、正直まだできていないんですよね。
一方で、変わらなかったこともあります。
経営者になったからといって、大きく変わったことは実はそんなにありません。
むしろ悩みは増えましたし、自分がこんなに無力だったのかと実感する毎日です。
それでも、経営をしていなければ自分の無力さや無知さに気づけなかったと思います。
ずっと個人事業主のままだったら、きっとどこかでおごりが出ていたはずです。
経営者になったことで、自分の無知や経験の少なさを受け入れた上で、もう一度そこから始めようという気持ちになりました。
ストレスもかかりましたが、いい経験だったと思っています。
指導する立場から、指導する仕組みを作る立場になっても、目の前の人に向き合う姿勢そのものは変わっていないと感じています。
一人でダイエットを続けることの難しさ。
その悩みに向き合ってきた経験は、今のブログ運営にもそのまま生きています。


おわりに|今、伝えたいこと
40代という年齢は、何かを諦める年齢ではなく、むしろ新しい挑戦を始められる年齢だと思っています。
トレーナーから経営者へ。
私にとって、その決断は小さな一歩ではありませんでした。
でも、動いてみなければ何も変わらなかったのも事実です。
もし今、あなたが「このままでいいのかな」と迷っていることがあるとしたら。
その迷い自体が、次に進むためのサインなのかもしれません。
読んでくださって、ありがとうございました。